リーメベルタ・ノア音楽制作の記録
ちょっと時間が経ってしまったけど、リーメベルタ・ノアの音楽制作について思い出しながら書いてみようと思います。この制作辺りから音楽の発想を少し変えたので、後に読んで何かの発見に繋がればいいなと思う次第です。
リリースが2019年8月だったので、過去にいくつか記事を書いています。
こちらはリリースに向けた紹介記事。
音楽のスタイルや制作経緯なんかが書いてあります。
そして、こちらはBGM制作で工夫したといいますか、ゲームの進行に合わせて曲の流れが変わる仕組みについての話。
この制作にあたっての主要なことは、これら二つの記事に書いてしまったので、ここではこの頃から始めた音楽的な挑戦について書いておこうと思います。
和声というと、何をイメージしますか?
普段生活していてもあまり出てこない単語なので、ピンと来ない方もいますよね。単純に言うと、単音ではない音のカタマリ、でしょうか。
一人が歌っているところに、もう一人が歌えば、聞こえてくるのは和声(和音)ということになります。そう、和の声です。音楽だと音程の違う音同士のハーモニーを指したりしますね。
この和声、コードと言ったりもします。
ある特定の音の重なり方をCメジャーとかAマイナーとか言ったりするのを聞いたことありませんか?曲の展開に合わせてこのコードを変更していくことをコード進行といいます。この進行には一定のルールもあるのですけど、それはもっと詳しい方の記事を読んでいただくとして、ここでは、とにかくコードとその進行がある、ということだけ理解してもらえれば問題ないです。
ところで、同じドの音を聴いた時、ピアノのドとギターのドを違うと感じられるのはどうしてか考えたことはありますか?
昔は自分も不思議だったんですけど、これって「倍音」というものが関係しているそうなんです。
面倒な話は置いておいて、一つの音が出た時、私たちは一つの音しか出てないと思っているけど、実際にはいろんな倍率の音が出ているという話です。その倍率が楽器ごと、もっと言うと声を含めたあらゆる音で異なるので、その差を違うと感じて、ピアノだったりギターだったり、あなたの声だったりを聞き分けられるのですね。ちなみに、この倍率具合がめちゃくちゃなほど音程が分からなくなります。
コードというのは、この倍音の具合を総括してハーモニーを体系化したものですが、倍音によって音程が不安定になるという想像ができますね。ピアノとエレクトリックピアノだと同じコードを弾いても、後者の方が響きが濁りやすいなんていいます。
話が長くなってきたので、そろそろ結論。
楽器ごとに音程(というか響き)が変わるのなら、楽器や和声によっては、いつも考えるようなメロディーやコード進行とは違った展開が作れるのでは?と考えたわけです。ある作曲家さんのインタビューで和声の話を聞いたんですけど、その時に考えたことでした。
そんなわけで、このリーメベルタ・ノアからこの手法について実験的に色々と試しています。本作の楽曲制作は2016年からだったので、かれこれ4年ほどチマチマと実験していたことになりますが、大分面白いことができるようになったかなと思います。
他の作家さんからすれば「そんなの知っとるわ」ということでしょうけど、自分からするといろんな可能性が広がった感じがあって、ワクワクしたのを覚えています。先人の知恵を使うのもいいけど、こんな風に試行錯誤して発掘していくのも創作の楽しみかなと思うのですが、どうでしょう?
ゲーム音楽のみならず、今後の音楽制作にも活用して洗練させていきたいなと思っています。