誰かさんの不思議

音楽活動の合間に感じる不思議なことを雑談しています。

ユニティユニオンズ音楽制作の記録

自分の音楽を自分で解説するというのも少々恥ずかしい話のように思うけど、後で振り返って反省したり、次のステップにできたらいいなということで、少し書いてみることにしました。

 

昨年リリース(Steamは5/16)されたゲーム作品、ユニティユニオンズ。

 

制作に入った初期の段階で入院することになり、ここ最近では一番印象深い創作でした。

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音楽を制作することになり色々とお話を伺うと、ファンタジー世界をオーケストラ風、主人公に合わせて可愛らしくポップな感じにしたいというお話でした。また、すでに5曲ほど制作された楽曲があったので、そちらの編曲もお引き受けしました。当初は数曲のお手伝いという予定だったのだけど、なんだかんだで全曲担当することになったのでした。大変ではあるけど、個人的にはまるごと担当できた方が楽しいですね。全体を通して質感をコントロールできるし、フレーズを散りばめて全体を作れるし。

 

編曲は割と自由にしていい、というお話でした。

 

どの程度まで変えてもいいのだろうか、と悩みつつもいただいたオリジナル曲で初期のPVは作られていたし、作品の雰囲気としてはこれがOKテイクとなったものなのだろう、ということで、メロディーなんかは少し変えつつ、全体的な雰囲気はオリジナルのものを底上げするようなイメージで取り組むことにしました。

 

方向性が決まったところで、楽器編成の話。

 

ファンタジー世界のオーケストラ音楽、というと指輪物語のようなイメージがあったりするのですが、今回はそういう雰囲気でなく、どちらかというと明るめでポップなイメージ。絵柄も可愛らしいですし、どちらかというと華やかな雰囲気なので、オーケストラ楽器を中心にしたポップ・ミュージックという体で作り始めたのですが、世界観を強調しようと一つ決めたことがありました。

 

それは、主人公が関わる曲には電気を使った楽器を使わない、ということ。

 

魔術はあるけど、どちらかというと素朴というかローテクな世界の人なので、その楽器自体が空気を震わせて鳴る音楽にすれば、自然な世界の雰囲気が出るのではないかと考えたわけです。逆にシンセサイザーは不自然なものというか、得体の知れないものの楽曲ほど多く使うようにしました。

 

こうすることで強く対比されますし、シンセサイザーの異質さが怪しげな雰囲気を強くしてくれるだろうと踏んだわけです。この世界の歴史も資料として頂いていたので、その影響もあります。

 

ただ、正直言うと少し迷った部分でもありました。

 

主人公が宝石魔術師なので、もう少しキラキラした感じの方がいいのかな?と。

アコースティックな音楽だと、どうしてもエッジが立たないと言うか、全体的にしっとりした感じになりがちなので、宝石のイメージが音楽からは稀薄になってしまうかも知れない。でも、結局先の手法を選びました。長い歴史のある世界なので、時代性のようなものを出したかったんです。

 

作曲する時、いつもピアノを弾きつつ鉛筆で譜面へラフをスケッチしていきます。

 

でも、今回は制作期間入院していたのでピアノが使えず、ベッドの上で紙と鉛筆を使うことになりました。いや、もちろん絶対音感なんてないので、音を確認する方法を持って入院してます。

ピアノ HD

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使ったのはこちら。

流石に両手で弾けるようなものではないので、人差し指一本で音を確かめながらメロディーを書いていったわけですけど、いつもは左手で和音を作りながら考えていくところ、こういう環境だったので、メロディーだけでイメージが膨らむようなもの、展開が変わっていくものを作ろうと発想しました。

 

おかげで、いつもとはちょっと違う音楽ができたように思いますし、今回の制作で色々と閃いたこともありました。まさに怪我の功名。

 

こんな過程を経て、昨年末に無事リリースされました。良かった良かった。

 

年末のコミケでも良い反応だった、とのことでしたし、割とのびのび制作できました。

最後の戦いでちょっとだけ歌わせたりとか、その他、細かいことを色々と仕込んで楽しかったです。参加できて本当に良かったなと思います。

 

楽なことなんてないと思いますけど、ファンタジー世界が舞台の音楽って難しいですね。昨今、アプローチの方法が本当に多種多様です。土着的なものもあれば、未来的なものもある。それだけ懐の広い世界なのだろうなあと感じます。

 

次回、またファンタジー世界の音楽制作に携わることがあれば、今回得たものを活かしつつ、また違ったアプローチで望んでみたいと思います。

 

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