創作と愛
音楽制作を担当したiOS用ゲーム、CHIP STEPがiPhone Game Castさんでレビューされました。
嬉しいですよね。純粋に。そして本当にありがたいです。
ゲーム制作をしている時は、当たり前ですけどゲームの内容についてメンバーであれこれ話をします。「こうした方がいいんじゃないか?」「いやいや、こっちの方がいいだろう」等と。その過程はさながら迷路を探索しているようで、道もまっすぐではなく、行ってみたら行き止まりだったり、そもそもゴールと思っていた場所に着いたら違っていたり、はたまた次の扉が待っていたりします。
私は音楽スタッフとして関わっていますが、今回の作品では音楽がそのままステージになっているので、普段とは少し違う悩みを経験したわけです。
でも、そうして形になった作品をどうやって人に知ってもらうか、というのがこれまた難しい。そりゃーたくさんの販促費があるというなら話は簡単かもしれないけど、インディーにそんなものあるわけないし、そういう資金があったら開発に注ぐんじゃないですかね。インディーならば。
下世話な話かもしれないけど本音を言えば、そういう意味でもこんな風にレビューいただけるというのは本当に嬉しいですし、応援してもらっているという気持ちになるのです。もちろん先述の通り、感想や意見をいただけるということ自体も嬉しい。
「愛の反対は憎しみではなく無関心です」
マザー・テレサの言だったでしょうか。どんな人間も心の奥底では他人に愛されたい、正確に言うと、他人に愛されたと感じたいと思っているはずです。
ゲームに限らず、音楽や絵画、文筆、その他たくさんの創造物はそんな思いが形になったものだと思います。
ですので、作品に触れて何か感じたなら、是非、作家さんへ声をかけてあげてください。あるいはそれを表明してみてください。あまりにも悪口になるなら控えた方がいいかもしれませんが、好意というものはいつの時代も伝わるものだと思います。
そして同時に、創作する人間は人の心に届くものを作らないといけないですよね。
自戒を込めて。
怖い夢と現実の境界
昨晩、とても怖い夢を見ました。…いや、夢ですよ。
床に就き、うつらうつらとしている最中、しっかり寝た感じはなかったのだけど、おそらく眠っていたのでしょう、脇腹を一定の間隔で叩かれる感じがするのです。殴られているというほど強くはないけど、結構な強さで。
そこで何事かと思い、うつらうつらとしつつ少し目を開けると、薄闇の中、ジャージ姿の人が立っているのです。
え?どういうこと?
恐怖に声も出ないとは正にこのこと。全身の血の気が引くのが分かりました。
目を瞑ることもできず、しっかり開けることもできずに耐えているとやがて意識もはっきりしてきて、思い切り目を開けるとそこには何もない薄闇。
…あれは一体何だったのだろう?
泥棒が入ったということもないし、自分の部屋をリアルに再現した夢だったんでしょうけど、やっぱり怖いというか気持ちが悪いものですね。昔の人が、夢を悪いことの前触れだとか、何かの予兆と感じたのも分かる気がします。
ただ、涼しくなってからの怪談は控えていただきたいものです。
音楽制作環境を一新しました
約6年振りに音楽制作環境を一新しました。
さすがに機械も古くなり、あちこちガタがきていたので思い切って。
数日かけてネットワークから諸々整えていたのですが、6年も経つと色々なものが変わるものですね。挙げていったらキリがないけども、4kディプレイは驚くほど綺麗ですし、内蔵のスピーカーも低音がしっかり出てるし。
ほとんどの音源がそのまま使えたので、使う音自体はあまり変わらないのですが、音符を並べるソフト(分かりやすく言うと)はバージョン7から9へアップしました。
と言ってもそれほど使い勝手が変わったわけではないのですけどもね。
どちらかと言うと、録音環境をより良くしたので、今後の楽器録音が楽しみだったりします。ワールドクラスの録音レベルとか何とか。
購入してあるオカリナもまだ曲で使っていないし、他にも色々あるので楽しみです。
とまあ、こんな風に良いことばかりの話をしていますが、一つだけ残念なことはありました。
それはマスタリングツールが動かせなかったこと。
長年T-RackSという最後に楽曲全体を調整するツールを使っていたのですが、これが大変素晴らしく、スムースに音を豊かにしてくれる上に操作も直感的でシンプルで私の曲は全て最後にこのツールを通っていたわけです。
今回の新調でこれが使えなくなった。
会社に問い合わせても、販売、開発は中止になっているというし、ネットで調べて見ると、若い方のブログには自分が赤ん坊の頃にリリースされたものとまで書かれている。私は今までそいつが現役だったってのに。
しかし、良いものは無くならないものです。
自分が使っていたのは黎明期のものだけど、今はバージョンアップを繰り返し、T-RackS 5となっていました。
今では、手数がものすごく増えているようです。
でも買いました。こちらのメーカーは贔屓にしているので、割引あるし、クーポンもあるし。ただ、まだリリースされていないので手元にはないのです。
ですので、このツールがインストールされて整備終了ですが、とりあえず楽曲は作れる環境にはなったので、これからガシガシ作っていこうと思います。
頑張ろう。
愛用のピアノ音源が更に良くなりました
世の中にはたくさんの素敵なピアノ音源があります。
機械の性能も上がったので、本物のピアノから丁寧に録音したピアノ音源なんか特に人気があるようですね。
そんな中、私が長年愛用しているピアノ音源がこちら。Pianoteq。
多くの会社さんが最高のピアノ音源を作ろうと、吟味を重ねた本物からより美しく、高解像度の録音を再生させようと頑張っている中、こちらの音源は一味違います。
こちらは、ピアノを演奏することで起こる事象をプログラムで再現させて音を作り出すモデリング方式というものだそうで、音をリアルタイムに生成しているのだとか。正直なところ、私にはテクニカルな部分は良くわからないのですけど、この音源を使って演奏するのがとても心地いいのです。
聞くところによると、弦同士が響き合って出てくる音も作っているそうで、よりピアノの音色だそうですし、強弱の具合もMIDI情報で送れる127段階。鍵を押した強さがダイレクトに伝わって共鳴することに心地よさを感じるのかもしれません。
その音源が今回メジャーアップデートして、おまけにスタインウェイの公認を得たのだとか。
私の好きなピアニストが使っているから、と言うミーハーな理由で私も昔からスタインウェイのピアノが好きなのですが、まさか公認されるとは思いもしませんでした。
心なしか、今回のバージョンアップで優しい響きになっているような気がします。
で。
今月からはこのピアノで毎週日曜日の即興ピアノを配信します。
今月は先日お話しさせて頂いた加藤オズワルドさんの画集「SEPTEMBER」をイメージして演奏していきます。五回の演奏で画集の物語を表現するので、画集を知っている方はより楽しめるかもしれませんね。どうぞお楽しみに。
すでに知っているのに
最近ーというほどのことはないけども、色々な所で過去作のリメイクというものを見かけます。ゲームだったり、小説だったり。
長く続いているシリーズものの原点を知ってもらう、という意味があるのだろうと思います。何十年と続いているものなんか特に。
ただ、一方で購入している方の多くは、既に過去、その作品に触れたことのある人なんじゃないかと考えてしまうんですよね。つまり、リメイク作品の目的とする層から少しズレている。
かくいう私もその一人でして、3DSにはF-ZEROやファイアーエムブレム外伝が入っていたりします。ま、外伝は当時クリアまでしていないので、ちょっと違うかもしれませんけど。
この心理は一体なんなのでしょうね。
素直に考えると、同じお金を払うなら見たことのないもの、新しいものへと興味が湧くはずなのに、ちょっとは変わっているものの、始まりから終わりまで知っている作品に食指が伸びてしまう。驚きや感動も言う程大きくないでしょう。でも、買う。
もちろん、悪いことではないし、リリースする側も潤って次の作品への足がかりにできるかもしれないわけですから、全く問題ないのだけど、リメイク作品がリリースされて、それが販売ランキング上位に位置するのを見ると、なんだかモヤモヤするんですよね。
ある人は、そのジャンルが飽和したとか、ネタ切れだ、と言います。
確かにそうかもしれないし、それだけ成熟したとも言えるのだけど、それでもやっぱり初めてその作品に触れた時のワクワク感やドキドキ感を味わいたいと思うんです。
…贅沢…ですかね。
宣伝したいけども
Twitterを使っていると、同じことを呟いている人を見かけることがあります。
何かの宣伝である場合が多いので、きっとそういうことなんだろうなあと察するわけですが、どうしても気分が悪くなってしまう。申し訳ないけど、あまりに多い方はミュートしています。
宣伝したいという気持ちは良く分かります。
私も先日リリースされたiOS作品CHIP STEPをより多く宣伝したいですし、もちろん自分が参加した他の作品だって宣伝したい。自分の創作は言うに及ばず。
でも、自分の勝手で同じことを聞かされるのはどうなのだろうとも思ってしまうのです。
世の中にはスパムメールというものがあります。
送り側の都合で一方的に広告してくるアレです。
それを貰って嬉しい人というのは、世の中にどのくらいいるのだろうかと考えたことはありませんか?そして、それを受け取ったあなたはどんな気持ちを抱くでしょう?
Twitterはただの極々個人的なつぶやきです。
SNSのような扱いをされているけど、基本的には一方通行で、フォローするのもミュートするのも、或はブロックするのも全て自由です。聞きたくなければ耳を塞げばいいわけです。簡単ですね。
だから、そういうことは止めましょうとは言いません。控えましょうとも言いません。
ただ、きっとそれを続けることで、あなたに関心のある人もウンザリして離れるかもしれない、ということです。
宣伝は難しいです。
やり過ぎても煙たがれるし、やらなければ知られないし。
なので、せめて宣伝するものは同じでもその方法を少しずつでも変えて、耳にする人にとって常に新しい発見があるようにしたいと思うのでした。
CHIP STEP音楽制作への道
先日リリースされたiOS作品"CHIP STEP"。
作中音楽(というかステージそのもの?)を担当しているわけですが、先日、サウンドトラックもリリースされました。BOOTHとBandcampで配信中です。
Bandcampでは全曲全尺試聴できるのですが、ゲーム本体と違い、こちらは500円と有料です。ゲームの維持費等に充てていく予定ですので、もし宜しかったらご購入という形で寄付ください。どこかの団体のように一度寄付したからといって何度もお願いに上がることもありませんのでご心配なく。
さて、その音楽制作。紆余曲折ありました。
ゲーム自体も一風変わっていますが、音楽的にも変わったものを、ということで当初はSFCの音源を真似した音楽にしてみようと画策していました。以下、一年前の日記。
SFCの音源はサンプリング形式ですが、音色自体に独特のクセがあってこれはこれで面白い味が出るのではないかと、当時息巻いていたものです。ところがその約三ヶ月後。
平たく言うと、挫折したわけです。
当時の日記にも書いてありますけど、まあ、音程が合わない合わない。しかも半音という単位ではなく極々微量なので質が悪い。単音だと私の耳では気にならないのに、ハーモニーとなると、途端に気持ち悪さが目立つんですね。
音色がチープなのは味となるけど、音程が狂っているのは別次元の話ですよ。
で、以下の日記に帰結するわけです。
既にプレイしてくださった方なら分かるかと思いますが、上記の日記に書いてある"5つのルール"を実はきちんと守っていません。ゲーム性を高めるため、開発の後半になって曲を少しずつ変更しているのです。
ちょっと長くなってきましたね。
続きは次回。