映画「リズと青い鳥」を観ました
優しい映画を観たいなあと思って手に取った一作。
フルートとオーボエの掛け合いが好き、ということもあります。
吹奏楽部のお話で、快活な女の子と引っ込み思案な女の子の掛け合いを通して心が成長していく物語なんですけど、”リズと青い鳥”という童話(?)を通して二人の関係を対比させていく風に進んでいきます。
歳をとってしまったからなのか、こういった青春映画を観てもあまりピンとこないんですけど、儚い映像はとても美しく、音楽も良かったです。正直に言うと、もう少し音楽を聴きたかったところだけど、演奏会を主題にした作品でもないですし、仕方ないですかね。
これが、先日ひどい事件のあった京都アニメーションの作品なんですね。
映像を通じて良い音楽に出会った時、劇伴は誰が作ったんだろうと思うことはあるのだけど、アニメを観てもどこの制作会社が作ったのかということは気に留めません。ただ、先日の事件は大きく取り上げられましたし、その名前も知ったので、今回は改めてそういう意識で鑑賞しました。
アニメーション技術の話はもちろん、その大変さについてもほとんど知りません。
それでも、こういった作品を丁寧に作っていく方々が理不尽に命を奪われるというのは、やっぱり悲しく残念なことです。
昔ほどではないのでしょうが「アニメばかり、ゲームばかり」と言われることがあります。多分、他人と交流せず自閉していることを例えて言っているのでしょうけど、それらの作品で語られることの多くは、人としての生き方とかであって、人に危害を加えることを促すようなものじゃないと思うんですよね。スポーツの世界の方が、よほどリアルで陰湿なことがあるんじゃないか、と思ったりもします。
私はスポーツも好きだし、アニメもゲームも好きです。
今後アニメーションを見て、京都アニメーションというクレジットを目にした時、きっと考えることもあるんじゃないかと思うけど、今まで以上に敬意を払って鑑賞したいと思います。
映画「エクス・マキナ」を観ました
人間とAIのお話。
SFを観てみようと思って手に取った作品。R-15。
最近の人は驚かないのかもしれないけど、アンドロイドのスケスケ具合とか一体どうやって写しているのだろうかと驚いた作品です。
お話はとてもシンプル。
ほぼ密閉された空間で、登場する人物も数人なので混乱することもないですね。
それでいて、サスペンス(SFスリラー?)としての魅力があるので、基本的には静かな映画ですけど、緊張感があります。
AIが人間の仕事を奪う、とか、AIが人に変わって世界を統べる、なんて見聞きすることがあります。でも、個人的にはそういうことってないんじゃないかなあと思うんですよね。確かに技術の進歩でなくなった職業はたくさんあると思うけど、それに代わる仕事が生まれてくるんじゃないかなあ。
仕事でなくても、そう。
何かがなくなると、それに必要な何かが生まれてくるものだし、必要な人数が少なくなれば、社会の個体数が少しずつ減ってくるだけのことで、ヒステリックな変化はなく、気づいてみたら社会に必要な人数になってた、というだけなんじゃないかな。自然の摂理というか何というか。
倫理がどうの、人としてどうの、なんてことは全て人間が決めた(思い込んでいる)ことで、自然からすれば「勝手なこと」。抗ってもなされるがままでも、意識がなくなればもう何もない。未来のためにと言っても、その未来を保証するようなものもない。でも頑張っても無駄という意味でもない。
淡々としたこの作品を見ていると、そんな気分になってきます。
この作品、観る人それぞれで印象が変わるんじゃないかな。
お勧めできる年齢に制限はあるけど、静かな映像が好きな方には良いかも。人によっては退屈かもしれない。
映画「Harmony/」を観ました
伊藤計劃さんのSF。
こちらは原作の小説も読みました。
実際にビジュアルにされると、結構イメージが違うものだなあと感じた作品です。
小説にはイラストもなく、当然色合いの描写などからシーンを想像するわけですが、それでもだいぶ鮮やかな印象を受けました。
今は違うようだけど、私が持っている小説の装丁は真っ白で、ただ「Harmony/ ]とだけ書かれた(しかし美しい)もので、作品世界とマッチしていることもあってか、想像する世界も白っぽいというか、どことなく幻のようなイメージなんですね。
でも、こうして映像として観ると、現実的というか実際にその世界を生きる人の物語という実感が湧いてきます。もちろん、どちらが良いとか悪いとかではなくて。
この世界はメイルストロームという事件で人類の多くが死滅しており、そのため命をとても大切にする社会として描かれています。
自分の体にまつわるパーソナル情報も生府が管理していて公となっている世界。自分の体について他人が知っていると同時に、他人のことも知っている、というわけですね。主人公らはその社会から飛び出したいと願っていて、その方法として自死を選ぶわけです。しかし、失敗して大人になり…とお話は進んでいきます。
人間って何なのだろうね。
国という枠組みを作って争い、時に人を殺して傷ついて、もう止めて平和を愛そうと願ったら、今度はその愛に首を絞められる思いをしなければならない。人それぞれに存在するけど基準の曖昧な”ほどほど”というものが定義できない。
種の豊かさのための多様性が種を惑わせているようですが、それに対する一つの答えをこの作品では語ってくれます。でも、映画だけだと分かりにくいような気もするので、映画は映画として観て、それとは別に是非、原作小説も読んでほしいです。SF小説にしては読みやすいので、入門としてもお勧めかな。
映画「アメリカン・スナイパー」を観ました
今回見た映画はこちら、”アメリカン・スナイパー”。
色々な映画を観てみようと思うものの、興味を抱くのは大抵ヒューマンドラマだったりします。その次はSF、サスペンスですかね。ホラーは怖いからダメだし、アクションも危ないから見ないし。(入院中、トランスポーターを観たけどすごかったなあ)
この映画もヒューマンドラマのコーナーに置いてあったのですが、ショップのオススメというか「あなたはこの映画を観ましたか?」というポップに惹かれて選んでみたわけです。観てないからね。
実在の人物のお話を元にして描かれた映画だそうで、9.11後のアメリカの報復活動時に活躍した狙撃手を主役に物語は進んでいきます。
派遣されては帰還して、派遣されては帰還して。
そうやって行き来する内に段々と病んできてしまう。
主人公は祖国を守るという思いから志願して、多くの成果を上げ、”伝説”とまで言われるようになるけど、人を殺して得られる平和や幸せって何だろうと思ってしまう。
人が生きることは、常に何かを犠牲にしていることでもあるのでしょうけど、実際に手を下してきた人は、多分、死ぬまで問い続けることになるんだろうなあと思うわけです。辛いことだね。例え愛する家族がいたとしても。
それでも、4回の派遣で退役して家庭に戻り、ラストは優しい父親として描かれます。風と砂埃の世界から、優しい緑の溢れる世界を見ると、幸せであってほしいなと強く思うわけですが…エンディングはとても残念でした。
特に、私はこの作品を知らなかったので、スタッフロールでは只々呆然としていました。
もし私のように観たことのない方がいれば、お勧めしたい映画の一つです。
ドラフト会議を終えて
先日ドラフト会議がありました。
毎年狭い門をくぐってプロ入りする選手たちは、本当にすごいことだなあと思います。指名順に関係なく、ね。
ライオンズは重複確実と言われていた佐々木投手を1位指名。重複を避けるチームだと思っていたので、ちょっと意外でしたけど、それだけ魅力的な選手ってことですよね。高校生で163km/hってちょっと考えられないですよね。これで体が出来てきたらどうなるんだろうと思ってしまいます。
ただ、結果はハズレ。まあ、こればかりは抽選で決まることだし、縁がなかったってことでしょう。ただ、上位で即戦力になりそうな投手を獲得できたのは連覇したとはいえ、投手整備が急務なチーム事情には良かったのかもしれない。個人的には先発で長いイニング投げてくれる投手が良かったかなと思うけど、入団したら分からないよね。
そう、分からない。
入団時には指名順があって、それは球団が持つ期待の現れなんだけど、入ってしまえば横一線なんですよね。ドラフト下位だろうが育成で入団しようが、良い結果を出して活躍できればそんなこと関係ないわけだし、そういう選手だってたくさんいます。
ライオンズは二年連続ペナントを制しながらCSで負けて日本シリーズに出場できない、という目に遭い、原因は投手にある、なんてことを言われます。そして、実際にそうだと思います。
この中から長くチームを支えてくれる強い選手が生まれることを望んでます。
映画「虐殺器官」を観ました
伊藤計劃さんのSF。
原作は読んだことがないのだけど、読みやすそうなSFとして興味があったところ、DVDが目に留まったので観てみました。
映像にしろ、小説にしろ、SFって分かりやすく作るのがとても難しいんじゃないかなと思います。
本作品もそうでした。
SFファンに向けて映像化した作品なんだと思うけど、とりわけ原作ファンをターゲットにしているのかなあと感じました。私のような予備知識なしの初見では、よほど注意深くないと流れがわからないのではなかろうか。「どうしてだろう?」と感じるところがあって、すんなり楽しめなかったというのが本当のところです。SF慣れしている人なら分かるのかな?
お話は、主人公が「ジョン・ポール」という人間について尋ねられ、それに応えた内容を語っていくという形。軍人ということもあってか、精神制御を受けていることもあってか、戦場で子供らを殺害していくときも淡々としていて、ちょっと怖いくらいです。(だから年齢制限があるのかな)
ジョン・ポールという人間が世界のあちこちで起きている虐殺事件の糸を引いているらしい、ということで捕まえるなり何なりしましょう、ということなんですが、最後に行き着いて彼の話を聞いてみると、方法や動機に驚くというものです。特に動機については、善悪について考えさせられるもので、SFだなあと感じます。
観覧後に少し調べてみると、原作は主人公の主観で書かれているらしく、モノローグというか、主人公の気持ちの変化などが分かるらしいです。で、映画ではそれが一切なく、俯瞰的に描かれているので、展開が分かりにくいとか。でも、モノローグを入れるととても上映時間には収まらないので、ああいう作りになったのではないか、とのこと。
う〜ん、確かに色々と考えさせられる作品で内容も興味深いのだけど、SFファン以外にはオススメしにくい内容かなあと思います。ハードな世界が好きな人には雰囲気だけでも面白いかも。
個人的には少々難しい作品かなと思いました。
映画「さよならの朝に約束の花をかざろう」を観ました
暖かい気持ちになりたくて、絵柄と雰囲気から選んだ作品。 予備知識なし。
人よりも長い時間を生きる女の子が出てくる、ということがパッケージに書いてあり、イラストの膝枕と合わせて恋愛ものなのかなと思ったのだけど、全然違ってました。愛の物語ではあるけども。
主人公の女の子が故郷を襲われ、偶然脱出した先で赤ん坊を拾い、育てていくというお話なんですけど、女の子は歳をとらず(というかものすごい長生き)、拾った子供だけがどんどん大きくなっていく。
初めて歩いた時のこと。
少年になってお母さんを守りたいと言った時のこと。
青年になって母親から離れて軍に志願した時のこと。
結婚して子供が生まれた時のこと。
そして…。
この作品、理屈なくおすすめです。
絵がとても美しいというのもあるんですけど、それ以上に人の生き方や人生についてあれこれ考えさせられます。
ネタバレ、というものでもないと思うんだけど、過程を経ずに知っても感動しないと思うので伏せておきますが、ラストは切なくもあり、爽やかでもあり、泣けてくるけどどこか清々しいのです。
レンタルショップで知らずにふと手に取った作品でしたが、こんなにも素晴らしい映画があるんですね。
最近はネットで事前にどんな映画なのか、簡単に知ることができるし、実際にそうやって情報を集めた上で観覧している人が多数だと思うけど、何の知識もなく、ふと観てみると思いがけない感動があったりして、映画をより楽しめるんじゃないかと思います。
また、素敵な映画に出会えるといいな。