映画「虐殺器官」を観ました
伊藤計劃さんのSF。
原作は読んだことがないのだけど、読みやすそうなSFとして興味があったところ、DVDが目に留まったので観てみました。
映像にしろ、小説にしろ、SFって分かりやすく作るのがとても難しいんじゃないかなと思います。
本作品もそうでした。
SFファンに向けて映像化した作品なんだと思うけど、とりわけ原作ファンをターゲットにしているのかなあと感じました。私のような予備知識なしの初見では、よほど注意深くないと流れがわからないのではなかろうか。「どうしてだろう?」と感じるところがあって、すんなり楽しめなかったというのが本当のところです。SF慣れしている人なら分かるのかな?
お話は、主人公が「ジョン・ポール」という人間について尋ねられ、それに応えた内容を語っていくという形。軍人ということもあってか、精神制御を受けていることもあってか、戦場で子供らを殺害していくときも淡々としていて、ちょっと怖いくらいです。(だから年齢制限があるのかな)
ジョン・ポールという人間が世界のあちこちで起きている虐殺事件の糸を引いているらしい、ということで捕まえるなり何なりしましょう、ということなんですが、最後に行き着いて彼の話を聞いてみると、方法や動機に驚くというものです。特に動機については、善悪について考えさせられるもので、SFだなあと感じます。
観覧後に少し調べてみると、原作は主人公の主観で書かれているらしく、モノローグというか、主人公の気持ちの変化などが分かるらしいです。で、映画ではそれが一切なく、俯瞰的に描かれているので、展開が分かりにくいとか。でも、モノローグを入れるととても上映時間には収まらないので、ああいう作りになったのではないか、とのこと。
う〜ん、確かに色々と考えさせられる作品で内容も興味深いのだけど、SFファン以外にはオススメしにくい内容かなあと思います。ハードな世界が好きな人には雰囲気だけでも面白いかも。
個人的には少々難しい作品かなと思いました。