誰かさんの不思議

音楽活動の合間に感じる不思議なことを雑談しています。

燃えよ剣読了

燃えよ剣下巻】を読み終わりました。
まず思うことは、小説中に出てくる人物が実際にいた人物であり、且つ、その時の感情を調べられない(本人がすでにいない、筆者が本人でない)場合の書き物は非常に大変だ、ということです。残された手紙に書いてあることも、本心と違うかもしれないし、残されていない部分は推察するしかない。だから、歴史小説というものは自分の筆に相当な自信がなければ、とても書ききれないのですね。
私のような若輩者が司馬先生の御著作に評をつけようなど、笑止千万もいいところだけど、この本、「私が好きな歴史上の人物に土方歳三という者がいる。どうだ、カッコいいだろう?」という感じの書き方です。言い換えると、書き手が常に見える文章なのです。小説の場合、書き手が見えない方が、その世界に読者が入って行きやすいので、良しとするところなんですけど、今回のものは歴史小説だし、純粋な娯楽じゃないから難しいのかな、という気もします。
…と、そんなこんなですが、色々と勉強にはなりました。たくさんの登場人物名はほとんど覚えていないのだけど、いつの時代も争乱があって、その度に亡くなる多くの人にはそれぞれに正義といった価値観があり、世界があるということを再確認しました。切ないけれども。