ごめんなさい。ギブアップ。
スマホ用ゲームアプリの音楽制作をお手伝いしています。
いわゆる”音ゲー”を作ろうということで、ゲームBGMがそのままステージになっているといいますか、ゲーム自体にも大きく影響するわけでして、少し変わったことをしてみようと偶然見かけたC700というソフトサンプラーを使う話になっていました。
■C700
C700はMacでもWindowsでも動くフリーウェア。ただサンプラーなので、そのままでは音が出ません。そこで、どういう音をどんな風に鳴らすか考えて楽器の音を録音しなければならないのですが、今時サンプラーなど珍しくもない中、どうしてこれを選んだのかと言いますと、”スーパーファミコン(以下SFC)の音源をシミュレーションしたものだから”なのです。
SFCをリアルタイムで遊んでいた方なら何となく分かるかと思いますけども、ファミコンに比べて音が豪華でリアルになったとは言っても、まだまだある種独特な音楽と音色だったと思います。今の様に本物のオーケストラが鳴ったりはしていなかったですし、バンドサウンドにしてもどこかチープでした。でも、それが味わいだったりもするわけです。
今回の音ゲーでは、そのSFCサウンドにトライしてみようと思い、私もあれこれと音色と曲を作っていたのです。
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ごめんなさい、ギブアップ。
正直SFCの音色を作るのがこんなに難しいとは思いませんでした。
メモリ容量との兼ね合いもあるんですが、とにかく音程が合わないんです。技術的な話は省略しますが、サンプリングしたものから音程を計算するため、音程の幅を広げると途端に狂う。アンサンブルにするとそれがとても目立つんですね。それが気になって曲を作るどころではなく、そのためにサンプリングを繰り返すのですが、そのサンプリングデータを音色データとして仕上げる作業もまた根気が必要なんです。
簡単に言うと、曲を作る時間より音色を作る時間の方が長い、ということに耐えられなくなったわけです。
そんなわけで、代表にお願いして路線を変えさせてもらうことにしました。音程に悩まされたので、曲作りに集中できるようチップチューンに。この辺りの話はまた明日。
それにしても、SFCの音楽は大変な苦労の末に生まれたものなのだと、今回強烈に実感しました。ひょっとしたら何かツールを作って制作していたのかもしれないけど、全てのSFCサウンドプログラマーやサウンドエンジニアの皆さんに敬意を表します。本当にスゴい。コンポーザーばかりに目が行っている方。縁の下の力持ち具合が半端ではないぞ!