誰かさんの不思議

音楽活動の合間に感じる不思議なことを雑談しています。

映画「Harmony/」を観ました

伊藤計劃さんのSF。

こちらは原作の小説も読みました。 

ハーモニー [DVD]

ハーモニー [DVD]

 

実際にビジュアルにされると、結構イメージが違うものだなあと感じた作品です。

小説にはイラストもなく、当然色合いの描写などからシーンを想像するわけですが、それでもだいぶ鮮やかな印象を受けました。

 

今は違うようだけど、私が持っている小説の装丁は真っ白で、ただ「Harmony/ ]とだけ書かれた(しかし美しい)もので、作品世界とマッチしていることもあってか、想像する世界も白っぽいというか、どことなく幻のようなイメージなんですね。

 

でも、こうして映像として観ると、現実的というか実際にその世界を生きる人の物語という実感が湧いてきます。もちろん、どちらが良いとか悪いとかではなくて。

 

この世界はメイルストロームという事件で人類の多くが死滅しており、そのため命をとても大切にする社会として描かれています。

 

自分の体にまつわるパーソナル情報も生府が管理していて公となっている世界。自分の体について他人が知っていると同時に、他人のことも知っている、というわけですね。主人公らはその社会から飛び出したいと願っていて、その方法として自死を選ぶわけです。しかし、失敗して大人になり…とお話は進んでいきます。

 

人間って何なのだろうね。

 

国という枠組みを作って争い、時に人を殺して傷ついて、もう止めて平和を愛そうと願ったら、今度はその愛に首を絞められる思いをしなければならない。人それぞれに存在するけど基準の曖昧な”ほどほど”というものが定義できない。

 

種の豊かさのための多様性が種を惑わせているようですが、それに対する一つの答えをこの作品では語ってくれます。でも、映画だけだと分かりにくいような気もするので、映画は映画として観て、それとは別に是非、原作小説も読んでほしいです。SF小説にしては読みやすいので、入門としてもお勧めかな。