誰かさんの不思議

音楽活動の合間に感じる不思議なことを雑談しています。

そして、今書いている。

迷いと決断。

 

自分が迷って決断したことじゃないけど、人の決断があって今生きているので、そんな話を。

 

3/2に重度の潰瘍性大腸炎で入院し、治療には一ヶ月くらいかかると言われて退院が4月9日に決まった4月8日のこと。

 

その日の朝、採血中に意識がなくなり、気づいたらベッドの上で、あちこち運ばれている最中でした。ただ、意識が戻ったとはいえ、ぼんやりしていたし、何より目を開けているのに何も見えず、声だけが聞こえてくる。

 

強烈な頭痛と吐き気の中、朝の早い時間なのに両親の声がする。

 

ただ、意識がぼんやりしていたせいか、目が見えないのに不思議とパニックのような状態にはならず、むしろ落ち着いていたような記憶があります。何というか、夢でも見ているような、そんな感じ。

 

その日、集中治療室へ運び込まれ、とにかく寝ているだけでした。

 

何度か嘔吐しつつも、頭痛は収まり体調が落ち着くに連れて、失明したことに多少の不安を覚えました。ちなみに、失明すると真っ暗をイメージされる方がいるかもしれませんけど、私の場合は真っ白でした。瞼を閉じて光の前にいるような感じですね。目の前に何かがくるとそれが陰るということが分かるだけの状態。

 

一晩明け、症状は空気塞栓による脳梗塞と言われました。

 

ただ、一晩明けて徐々に視力が戻り、翌日の昼頃には見えるようになりました。意識がぼんやりとして目も見えなかったので分からなかったけど、高圧酸素療法というものを施されたらしいです。それが功を奏したようです。

 

個室に入って何時間も通常の何倍もの空気を入れるという治療らしいのだけど、後に聞いた話によると、親はこれに一筆書いたそうなんです。

 

今、息子さんは脳梗塞で失明し、意識がほとんどない状態なので、高圧酸素療法をしようと思うがリスクがある。気圧の高い部屋での治療なので、鼓膜、肺が破れるかもしれない。何より、この治療でも脳梗塞による失明は回復しないかもしれない。治療を希望しますか?また、鼓膜も肺も破れた場合、延命治療しますか?

 

両親はこれに一筆書いて、私は酸素療法を受け、今生きて、自分でこの文章を書いています。

 

脳梗塞は時間が経てば経つほど回復の見込みがなくなる、と聞きます。

早朝、突然病院から意識がなくなった旨告げられて、来てみれば脳梗塞で失明した子供がいる。選択の余地なんかほとんどないとはいえ、一筆の決断は結構しんどいことなんじゃないかと思います。

 

幸い、脳梗塞が回復してからも残っていた視野障害も先日の神経科、眼科外来で回復したことが分かったので、今は潰瘍性大腸炎の治療のみです。

 

人間、本当にいつ死んでしまうか分からない。

 

今日できることは今日のうちに。

悔いのない生き方をしようと強く思うようになりました。

これまであまり気にしなかった、誕生日というのもありがたい指標です。