雨音
先日、オトカプセルさん制作のピアノコンピレーションアルバム「黒白遊戯」に"Rain"という曲で参加させていただいたのだけど、音源を提出した時、こんな確認をされました。
「うっすらとノイズが入っているようですが、いいのですか?」
そう、ノイズが入っていたのです。
と言っても、機械が発する電気的なノイズではなくて、いわゆる雨音。サーっという音の中にポツポツと水が落ちる音が混ざっていたわけですが、曲の中にこう言った音を混ぜると、意図しないものと思われてしまうのだなあと苦笑いしました。
これが、川のせせらぎや波の音なら意図的と思われたのかもしれませんね。雨音は確かに単なるノイズに聴こえますから。
昔、3rdアルバムを作った時にも似たようなことがありました。
確かこの時もピアノ曲だったんですけど、レコードから録音されている音を再現したくて、ピアノの音にそれっぽい手を加えつつ、レコード針のノイズを混ぜた作品でした。ところが、あるリスナーさんから「劣化していないピアノ曲が聴きたかった」と感想をいただいたのでした。
この時は、何とも言えない不思議な気持ちになったことを覚えています。
ある人にとっては心地よくても、ある人にとっては障害になってしまう。
ノイズはもちろん、音楽ー広くは芸術というもの全てに当てはまることだとは思うんですけど、表現というのは本当に難しく、結局は相互理解を夢見つつ、自己の世界で満足するしかないんだなあと思ったものです。
だから「やりたいことをやればいいんです」
自分の好きなこと、自分が美しいと思うものを突き詰めていけばそれでいい。
相手の心の内なんて、それを言葉にしても100%分からないけど、自分の感じる気持ちは分かるでしょう。
こんな風に自信を持てば、創作は常に楽しいものです。