誰かさんの不思議

音楽活動の合間に感じる不思議なことを雑談しています。

音楽制作のアドバイスで思う

どこぞの掲示板でこんな書き込みを見かけました。

「曲を作りたいのだけど、やってはいけないこと、禁止とされているようなことを教えてほしい」

どうしてやってはいけないことをまず知りたいのだろう、と思い、その掲示板を読み進めてみると、どうやらあたかも素人が作ったような曲と言われるのが嫌なのだとか。素人のようなも何も素人でしょうし、そもそも本名で発表するわけでもないのだろうから、ペンネームで失敗して覚えた後、名前を変えればいいだけなのでは、と思ったけど、私のようなアドバイスをする人はいませんでしたね。

多くの人は、楽典がどうとか、クラシックがどうとかジャズがどうとか、皆さん大変アカデミックな話をしていました。勤勉だね。中には、「やってはいけないことなんかない」という方もいましたが、反面、他の博識な方からは、少々叩かれ気味だったようです。「そういう何でも自由みたいな人の意見を聞いても碌なものにならない」ってね。

 

かく言う私は、その「碌なものではない人間」です。

 

作曲を始めた時に使っていたシンセに発音制限があったので、まず和声という考えがなかった。同時に2音か3音しか使えないので、メロディーを入れたらハーモニーなんて無理なんですね。そういう制約の中で、試行錯誤して1、2年ほど自分の中でキレイだと思う流れを覚えたわけですけど、それが数年後、大雑把に「対位法」って呼ばれるものだと知りました。

自分にはこういう話がたくさんあります。

何年後かに「専門用語でいうとこう呼ばれる」というものですね。

学生の頃、一応音楽教室へ通っていたのですが、そこでこんなことを言われました。

 

「今ある楽典やら何やらは昔の人が美しいと感じた流れや響きを後の人が体系的にまとめたものであって、そういう論理から曲が生まれたわけじゃない。」

 

だから、私の音楽の勉強というのは、自分にとって美しいと感じる響きを探すこと、なわけで、それは今も続いています。

ただ、こんな風に書き連ねてくると、論理なんか勉強する必要ないって思われるかもしれないですけど、そんなことは決してありません。先人の知恵を拝借するのは、時間の短縮に繋がるし、目に見えない音楽という言葉を互いに共通のものとして見ることができます。

 

自分が掲示板の君にアドバイスするなら、基本的な部分だけしっかり勉強して、後は自分が美しいと思う響きを自由に探したらいいんじゃないかな、という感じでしょうか。皆が論理に沿った曲を作っても面白くないし、かといってアバンギャルドなものばかりでもきっと辟易する。

生きてきた時間や世界の違う人達それぞれの情景が音楽になったら素敵だなあと個人的には思います。